アメリカ合衆国大統領のイメージはといえば、米国独立の英雄で「建国の父」と呼ばれたジョージ・ワシントンや誠実な人柄で知られるエーブラハム・リンカーン。あれから250年、今のドナルド・トランプ氏は、何かと戦争をくり返し、「アメリカファースト」、強い偉大なアメリカよ再び…とさけび支持を結集させている。
トラ氏の岩盤支持組織はMAGA(Make America Great Again)で、大多数はキリスト教福音派。プロテスタント保守派で、アメリカ中西部から南部を中心に強固なコミュニティーを形成し、イスラエルを支持する。この層からも批判が出た。
教派は別れるがアメリカ初のローマ教皇レオ14世はシカゴの出身。教皇から厳しい批判を受け、今度はレオ14世を呼び捨てにして批判する挙に出た。SNSではキリストが人々の病を治す絵画を、AIでトラ氏に変えて配信する始末だ。イラン介入は宗派の教祖的存在を抹殺して始まった。宗教者を排して「停戦合意」はないだろう。キリスト、仏教、イスラム、ユダヤ各宗に主(あるじ)たる人々が仕える。中東の若者たちに「宗教が全てではないだろう…」と問うと「宗教(イスラム)こそが人生の全てだ!」と堂々と答える。日本では考えられない光景が中東にはある。
さて、トランプ氏と歴代大統領の典型的な違いは、トランプ氏は将兵に対する敬意が極めて希薄であるという事。1991年湾岸戦争時、ジョージ・ブッシュ・シニアはサダムフセイン大統領率いるイラク軍がクエートを侵攻、3日間で全権を掌握した。ブッシュ大統領は手続きと時間を要する「国連軍」より、ペルシャ湾送出の原油に経済を委ねる諸国で構成する「多国籍軍」を編成してイラク軍に対処した。この時のアメリカは、最高指揮官に当時の陸軍大将のコーリン・パウエル、イラク派遣軍の最高指揮官にアーノルド・シュワルツコフを配置して、多国籍軍にも花を持たせる気配り。各国の指揮官を世に出した。
トラ氏の用兵は、自国の経済、世界経済を支配するアメリカの利害損失により兵を用いる。ごく一部の在日アメリカ軍人にすれば、トラ氏が抱える裁判、告訴を考えると、そのうち「ブタ箱入りさ」と冷ややかな声も。兵士は前線で戦っているのに、トラ氏は自慢の別荘で公費を利用してゴルフ三昧、格闘技の試合にも顔を出した。故郷の御両親からあずかる大切な息子や娘が、命令により生命を懸けているというのに。「国益」というが、「国益」の為に若者の命を差し出すか。
91年の湾岸戦争と今回のイラン介入は共通の課題がある。湾岸ではフセイン氏が原油取引きにロシアの「ルーブル」を要求。今回のイラクでは中国の「人民元」使用をテーブルに置いた。世界の基軸通貨であるドルに対し、その存在に大きな影響を与える戦略でもある。しかしこの面は、あまり表に出て来ない。世界の基軸通貨「ドル」はこんな些細な現象を過大に恐れる事はない。アメリカが世界経済にはたす役割や国連を中心とした加盟国全体への奉仕、世界平和に貢献する先人の遺産を思えば、世界の価値観は依然とアメリカにあることは明々白々ではないか。
通貨の価値は単なる経済力ではない。発出する国の国威全体の評価である。トラ氏はドルが大好き。マックの次に?彼は世界に誇る基軸通貨を単なる「カネ」の域まで貶めたようだ。 (陽)
