▽解説者=公明党参議院議員(医学博士)=秋野公造氏
Q・新型コロナウイルスの検査についての課題は?
A・PCR検査の難しさとその狙いをよく知って頂いたうえで、熟練した医療従事者の力を借りてPCR検査の数をまだまだ増やす必要があります。
医師により新型コロナウイルス感染が疑われているのに、PCR検査が遅れるようなことがあってはなりません。PCR検査を迅速に行う体制が必要です。
また、無症状病原体保有者の方が、例えば手術や内視鏡などの検査を受けることで院内感染を起こすことも避けなくてはなりません。これまでの基準に拘っていては蔓延を防ぐことはできず、必要に応じてPCR検査を行える体制強化が必要です。その際には、医療機関でPCR検査をするだけでなく、医療機関の近くでドライブスルー方式など導線を分けて検査を行うことも考えられます。ただし、どこまでも検査を行う医療従事者の感染のリスクと負担に思いを致す必要もありましょう。
現状では、迅速に結果を得られる簡易抗原・抗体検査の導入が待ち望まれます。16日には山口那津男公明党代表の直談判で国民一律の現金給付10万円を勝ち取ったところです。これからも検査体制の強化も推進していきます。
Q・新型コロナウイルスに感染したことがわかればどうなりますか?
A・新型コロナウイルス感染症は「感染症法」に基づく指定感染症に、検疫法に基づく検疫感染症に指定され、感染した方に対する入院措置の医療費は原則として公費負担です。
しかしながら、入院原則の方針を貫くと、感染者の数が増加してきた場合に、最優先すべき重症化した患者の医療を適切に提供することができなくなる可能性があります。そこで、重症化する患者の命を守るための病床を優先して確保しつつ、高齢者や基礎疾患がある方を除いて軽症者および無症状病原体保有者は都道府県が用意する専用施設または自宅において経過観察していくことになります。施設においては医療従事者が管理し、食事も提供されます。
一方で、軽症者の中から一定の割合で必ず重症化する患者さんをできるだけ早く医療機関に送る必要があります。
そこで、山口那津男公明党代表が「パルスオキシメーター」を活用し、患者が重症化する前に搬送できる仕組みを提案し、私も補足説明を行いました。
パルスオキシメーターは指先の皮膚を通して動脈血の酸素飽和度と脈拍数を測定する装置で簡単に結果が得られます。
重症化の端緒に起こる酸素飽和度の低下がみられると、医療機関に迅速に搬送できます。厚生労働省は提案を受けて翌4月7日に専用施設の運用として酸素飽和度と呼吸数を測定して記録する旨を全国に事務連絡を発出しました。
退院の基準は症状が軽快してから24時間後のPCR検査が陰性で、かつその後24時間後のPCR検査が続けて陰性であることを確認して退院となります。 (その⑥へつづく)