大分県立図書館(宮迫敏郎館長)主催の「やさしい日本語」講演会が12日午後2時から、別府市のビーコンプラザで開催された。外国人とのコミュニケーション拡大事業として、初めて実施した。講師は、本田明子立命館アジア太平洋大学言語教育センター長で、テーマは「多文化社会を生きる~『やさしい日本語』というコミュニケーション~」。
「やさしい日本語」は、阪神・淡路大震災をきっかけに、すぐに伝えたいことを簡単な言葉で伝えることで、防災に役立てようと始まった。最近では、地域で活動するための多文化共生のツールとしても活用されている。
例えば、避難所で「ここは土足厳禁」と言っても、外国の人には難しい場合がある。そんな時は「ここで靴をぬいで」と伝えると、分かりやすくなるというもの。
宮迫館長が「別府には、留学生を含めて外国籍の方が3987人暮らしており、全国でも有数の外国の方が生活をする町。受け入れる大学があるということだけではなく、安心して過ごせることを目指す市民レベルの活動が継続されているからだと思います。地域で暮らす中で、言葉が通じないということの不安を感じることはあると思います。『やさしい』というのは、簡単ということだけではなく、相手の立場に立って優しくするということも含まれています。多文化共生について今一度考えるきっかけになればと思います」とあいさつ。
本田センター長は「日本語が分からなければ、英語で話せばいいのではと言う人がいますが、世界中の人が英語をしゃべれるわけではない。外国人というだけで、英語で話しかけられることを不快に思う人もいる。かなり日本語の出来る学生が『自分が一生懸命日本語で話しかけているのに、英語で返事をする人がいる。自分の努力が認めてもらえない。失礼だ』という話をしていました」。
「やさしい日本語」は、短く言う、最後まではっきり言う、敬語を使わないーの3つのポイントがある。「情報量は少ないが、すぐに内容が分かる文章が良い。何が『やさしい』のかは、相手によって違う。相手が理解できる言葉を使うこと。日本語が母国語の我々にとっては、やさしい日本語はとても難しい。同じ立場で話をすることが大切だと思う」と話した。
今後は、10月26日午後6時20分から、別府市公会堂で学習会を行う予定。定員は40人で、講師は本田センター長。問い合わせは別府市社会教育課(電話21・1587、ファクス22・5100)へ。