別府市教育委員会は、令和3年度別府市教育講演会を3日午後2時50分、市公会堂で開催した。会場とオンラインの2つで行った。
学校教育の現状と課題を踏まえて、今後の学校教育の推進に役立ててもらおうと毎年開催している。公会堂の他に、各学校でもオンラインを活用して参加できるようにした。講師は、中山芳一岡山大学准教授で、テーマは「学力テストで計れない非認知能力を伸ばすために」。
寺岡悌二教育長が「以前、花の精神や特性を知って肥料や水をやるとキレイに咲いて感動を与えるという話をきいた。個に応じた、その子を伸ばせる教育が行われているのかと思うことがある。人とつながり、相手のことを考えたり、自分の良い所を伸ばす力がより一層大事になる。体験に基づいて話をしてもらえると思う」とあいさつ。
中山准教授は「以前は、人間力という言葉があったが、それでは何でもありになる。アカデミックな言葉で、8年前に出会った言葉が『非認知能力』。自分と向きあう力、自分を高める力、他者とつながる力。状況依存的な環境によってプラスとして受け取られる場合とマイナスに受け取られる場合がある。非認知能力は高ければよいということではなく、使いこなせなければいけない」と非認知能力についての考えを示した。
その上で「大学は今、自分たちのやり方でほしい人材をピックアップするようになっている。非認知能力による小論文などもある。非認知能力は、18歳くらいまでに伸びきる。第1段階の伸びは幼児期で、五感も伸び盛り。そこにも刺激を与えてほしい。ずっとタブレットやっている状態はよくない。砂や泥など様々なものを触ることが重要な刺激」と幼児期の教育の重要性について語った。
また、子どもたちへの接し方について「価値の共通であって、価値の強要ではない。最強の気づきのできる先生は、本人さえも当たり前に思っていることを当たり前にしない先生。『先生気づいてくれている』と子どもが価値を共有したい先生になることが重要。評価をするために一番大事なことは、現状把握。現状が分からなかったら、支援はできない」などと話した。