杵築市が緊急財政対策まとめる

 杵築市は、平成30年度決算における経常収支比率が100・9%と初めて100%を超え、財政調整基金が枯渇の危機にあることを受けて、緊急財政対策の素案をまとめた。
 経常収支比率は、財政構造の弾力性を判断するための指標で、毎年、経常的に支出される経常的経費に充当された一般財源の額が、経常的に収入される一般財源に占める割合。比率が高いほど、自由に使えるお金が少なく、財政構造の硬直化が進んでいることを示す。平成26年度は92・1%で、27年度には90・7%と少し改善が見られたが、その後は右肩上がりに硬直化が進み、29年度には98・5%と100%が目前となっていた。さらに、5年後を見据えた中期財政計画でも、平成30年度は経常収支比率が100・3%になると予想されていたにもかかわらず、財政調整基金に頼りすぎた結果、基金の枯渇という危機を迎えている。
 平成30年度末で約38億円あった財政調整基金は、令和元年度の当初予算で約13億7千万円取り崩しており、このまま同様の取り崩しを続けると令和4年度には財政調整基金が枯渇し、翌5年度には財政再生団体に転落する恐れがあると危機感を強めている。実質単年度収支についても、平成27年度に黒字に転換したものの、28年度から財政調整基金の取崩額と連動して赤字が拡大している。

財政の見通し甘く危機招く

 このような事態に陥った理由として、杵築市では、▽少子高齢化、貧困対策等社会保障経費の増加▽一部事務組合の負担金の増加▽地方交付税歳入の減少▽職員数増加による人件費の増加▽合併後実施してきた大型事業に係る公債費、維持管理費の負担ーをあげているが、財政見通しが甘かったことがうかがえる。
 杵築市は、平成の大合併で山香町、大田村と合併したことによる、合併特例債の期限切れが迫る中で、特例債を活用した市立図書館、杵築中学校、学校給食センターの改築事業と大型事業を次々と行ったことも大きな原因の1つとみられる。

3カ年で財政調整基金10億目標に

 緊急財政対策は、令和2年から同4年までの3カ年。財政調整基金に頼らない財政構造の構築と令和4年度末における財政調整基金の残高を10億円以上になることを目指す。
 外部有識者会議の意見を聞きながら、市長をトップとする「行財政改革プロジェクトチーム」を設置して推進。市長ら特別職の給与(市長30%、副市長、教育長各20%)、一般職員の給与の減額、時間外手当の削減、臨時職員等34人の削減、議員報酬の減額などにより、人件費を削減。今年度に減債基金を利用して繰上償還を行い、令和2年度以降の償還額を1億円以上圧縮したい考え。3年度以降は、2年度の実績を見ながら状況に応じた対応をしてく、としている。
 また、特別会計及び公営企業会計への操出金の減額、公共施設の廃止を含む総量の適正化。全事業をゼロベースで見直し、今年度の予算執行を可能な限り抑制すること等で歳出を抑えたい考え。一方で、歳入の確保では市税徴収率の向上と市有地の売却、ケーブルテレビ利用料の改定、ふるさと納税の増額を目指す。

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