「感染者ゼロ!」

 東日本大震災から9年が過ぎた。陸自別府駐屯地は第41普連をはじめ、業務諸隊あわせて8割近くが、災害派遣の命を受け主力41普連は、気仙沼市に宿営して、捜索や避難者の保護、業務外のガレキ撤去など黙々と派遣任務をこなしつづけた。福島第一の爆発事故の急報を部隊に知らせた事がある。当時の小副川祐二41連広報班長は「だいじょうぶ!この際、放射能に打ち勝つ強い体力をつけて別府に戻ります!」いつもの脳天気な返事が。41連に同行取材した際、津波が残した水たまりで、ゴム镸を着用した若い隊員が次々に釘を踏み、一日平均10人程が医療班のもとへ。「やった!破傷風の予防注射やっててよかった!」「私物のゴム镸だめだなあ、意見具申して捜索用のゴム镸作ってもらうか!」―――隊員の中には子どもが生まれた。子どもの入試。あさって結婚式。2週間後は定年退官日―などなど様々な、人生ドラマを乗り越えての長期派遣。
 現在進行中の新型コロナウイルスの感染拡大、「ダイヤモンド・プリンセス」に派遣された自衛隊は16日間で、のべ4千9百人。誰一人感染した者がいなかった―――河野太郎防相は声高に発表した。災害に対応する心構えとその備えを万全とすれば「恐れるに足らず」、このことは何より日本国民にとって大きな救いとなったようだ。余談ながら東京都消防局1万8千人も「感染者ゼロ」、お見事!  (陽)

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