別府市教委「べっぷの文化財」発行

様々な温泉の歴史を建造物から考察した1冊になっている

 別府市教育委員会と市文化財保護審議会はこのほど、「べっぷの文化財」の51号を発行した。「別府の温泉建築」をテーマに、古い写真を使って紹介をしている。
 表紙は、昭和3年に建築された、浜脇高等温泉。鉄筋コンクリート造3階建て。外壁タイルは、公会堂と同じ素材。昭和63年に浜脇再開発事業により解体された。
 温泉建設は、浴場を伴うため、普通の建物よりも耐用年数が短い。時代によって、建物にも流行があり、明治期に建てられたものは主に和風建築だった。大正時代には、大正ロマンの風潮の中で、洋風建築が主流に。寿温泉、不老泉、駅前高等温泉などが挙げられ、昭和に入ると再び和風建築へと移り変わった。竹瓦温泉は明治35年9月に和風建築を同じ和風建築に建て替えたが、大正2年には洋風建築を採用。しかし、昭和13年に再び和風建築に建て替えられている。
 不老泉にいたっては5回の建て替えが行われている。明治5年に木造平屋建ての和風建築。明治35年に建て替えた時には、木造3階建ての立派な和風建築だった。3回目は大正10年で、一変して展望台付きの洋風な建物となった。昭和32年には鉄筋コンクリート造。採光、通風が大きく確保できるカーテンウォール式の建物になった。一番最近では、平成26年に建て替えを行い、鉄筋コンクリート造2階建ての落ち着いた和風建築になっている。
 温泉の建て替えには、時代背景が大きく影響していることがうかがえ、興味深く、温泉の歴史を違った角度から知ることが出来る一冊になっている。
 「べっぷの文化財」は250部発行され、教育委員会の社会教育課や市立図書館、野口ふれあい交流センター文化財展示室で無料配布する。