ウクライナ、次は尖閣か

 プーチン大統領のウクライナ侵攻、「ペレストロイカ」以降30年に及ぶNATOの拡大を恐れたものか。モスクワではウクライナ侵攻直後に反戦デモが発生し、当局は千6百人を拘束したという。長期政権下疲弊した内政混乱の汚名を挽回したい、「独裁者」の狂気を印象づけた。片や西側はバイデン米大統領のリーダーシップの欠如か、「ウクライナは正式にNATOに参加していないので派兵はムリ」「徹底した経済制裁で対応」―――生ぬるい弱腰外交が伝わる。相手は飢えた白クマだ。
 日本はここで大きく反省しなければならない。北方四島はこの状態であれば帰って来ない。それどころか日米安保を見直し、自力防衛基盤の構築を急ぐべき。ウクライナ侵攻を横目に習近平氏もこれに習う。次は尖閣諸島か。
 対ソ経済制裁を考えてみよう。ロシアのGDPは1兆7千億米ドル、米国は22兆8千億ドル、中国は16兆6千億ドル、韓国は1兆8千億ドル。GDPから見ればロシアは韓国の次。東京都が約1兆ドルでこれに続く。日本は5兆4千億ドルで世界3位。GDPの弱少国がなぜヨーロッパを恐がらせられるのか。国家基本生産物の石油と天然ガスという天然資源の恩恵がある。経済制裁のアミは安々と抜けられる。
 また憂慮される内政の一つは「国民年金」。平均寿命73歳のロシア人に55歳からの支給をスタートしたが、65歳に延長する働きも出て、政権を揺るがす騒動はトップリーダー達の資産海外流出、旧ソ連邦の民主化と数限りない。第2次大戦からスターリの粛清内戦で実に2700万人の犠牲者(死者)を出した国だ。「人命は地球より重い」など通用しない。ウクライナの問題は即、自由主義社会の存在価値につながる。プーチン氏はウクライナ侵攻のTV演説で「我が国は核武装大国」と、核兵器を表に出した。1国の首脳が発した「最後の切り札」、この一言は許されぬ。  (陽)