松下直伝の経営哲学

時折り厳しい表情で語る江口克彦氏

 日本経済を支え続けた故松下幸之助・松下電気産業会長の側近で知られる、江口克彦氏(元参議院議員、PHP総合研究所元社長)が、市内で講演会を行った。
 旧知の濱田茂サラヴィオ温泉微生物研究所会長の招きで実現した。江口氏は世界ブランド松下電気(現パナソニック)で、松下翁の薫陶を受け、その経営哲学を世に広めた第一人者。「地域主権型道州制」を提唱して地域活性化政策では、さきがけ的存在として知られる。
 講演会は市内在住の中小企業経営者が集まり、さわやかハートピア明礬で行われた。江口氏は開口一番「実は母が別府の出身でして……」聴衆にインパクトを放って次のように語った。第二次世界大戦初頭、次々とヨーロッパを占領拡大するナチスドイツ、ヒットラーに飲み込まれようとする時、当時の英国首相ウィンストン・チャーチルが全面対決の演説に立った。喪失感と敗戦ムードに見舞われた当時の英国民、議会に「せっかくの危機をムダにするな!」と一喝。相手はヒットラー「俺1人で十分だ」と大見得を切って国民をうならせた。英国は多大な犠牲を生みながらもチャーチルのこの一言で勝利を収めるに至った。「戦争という危機を人ごとで終わらせたらダメ!現在コロナ禍に晒されている。中小企業はコロナ不況にあえいでいる。30年前に亡くなった松下幸之助が生きていれば危機に対処する経営者の姿勢を次のように戒めたのでは」30年間傍らで仕えた者として、この危機を乗り越える心構えを解説した。
 ①やり方は無限にある②危機意識を持て③感謝し、徹底した反省をする④コロナ禍は革新を生み出す⑤白紙に戻す⑥衆知を集める⑦しっかりした目標を掲げ挑戦する⑧「できない」では、できない⑨勇気を持つ⑩最善の上にも最善がある―――の10項目。また過去の例をみて、この様な緊急事態に倒産破産に追い込まれた経営者の共通の性格として次の4点をあげた。
 ▽過去の成功体験に甘んじる▽現状に甘んじる▽馴れあいになる▽虚栄に走る。と厳しい表情で伝えた。本業には常に「改革の気風を盛り込み、異業種への参入や製品製造素材の改革などを果敢に取り組む」などのアドバイスも。今年齢82、穏やかな言葉づかいながら経営者への戒めと激励のこもった講演となった。