ロシアの実体

 ウクライナ「侵略」は百日を過ぎた。防衛庁の専門家は、あい変わらず見当違いな論評を語る。政治家は鈴木宗男氏「自前(武器等)で戦えないなら、止めるべき」橋下徹氏は「人命が最優先。休戦を急ぎ時期を待つべき……」――など他人事のオンパレード。ロシアが唯一人の独裁者によってこの悲劇を生み出したのではない。国民多数が領有権の拡大を国益と受け止め、プーチンをその国益の「代表」と認めているのだ。ロシア国民の多くにその野望が存在する。ウクライナ国土の中央に川が流れる。北部から肥沃な土を運んで来る。ウクライナの国土は「黒土」と呼ばれ貴重な滋養は農作物に影響を与えつづけた。宇国は農耕民族系であり、貯蔵の技術力が個人の資産として反映されて来た。ロシアは狩猟民族系で爆発的体力で領域拡大の能力を有する。
 蓄積された技術力を「民度」によって表現される事が多いようだ。温厚を基調とする農耕民。愚生の不勉強故に「チェルノブイリ」が宇国に存在していた事を知らなかった。歴史的名画「ひまわり」の舞台が宇国であった事も初めて知った。欧州最大の原発が宇国に有る事も。迷惑施設の典型である露軍の生物化学兵器が宇国で管理生産していた事も。欧州、アフリカの飢えを阻止するために生産された麦は、露国産と生産地偽装された宇国産であった事も。純然たる露国産は石油、天然ガスと石炭そして優良な「金」。世界マーケットで車や電化製品など露製商品を見かける事はまずない。ミサイルと戦車、戦闘機以外に。
 露国に対する経済制裁は実効していないと言う。そんな事はあり得ない。ルーブルを世界の基軸通貨にしようとする魂胆は宇国侵略でご破算。生産されるエネルギー資源は諸外国の禁輸対策でアウト!ドイツは天然ガスの依存率50%を段階的に全面カット。「省エネ、電気の節減がウクライナを救う!」が合言葉となった。欧米、日本の金融機関との取り引きは絶望的。政府首脳部から財閥の個人資産まで凍結が続く。
 ロシアは「戦略的敗戦国」への道を進みつづける。そして何より悲惨なのは、指導者が平気でウソをつくという現実だ。
       (陽)