別府湾にたなびく風を表現

工事中のフロントに施された久住さんの作品をお披露目

 オリックス不動産(深谷敏成社長、東京)が開発を進めている、別府温泉杉乃井ホテルの建設中の新棟のロビーフロントなどに、国内外で評価されている左官職人・久住有生さん(50)が手がけた壁が完成し、報道陣に公開された。
 久住さんは、兵庫県淡路島生まれで、祖父の代から続く左官の家に生まれて3歳の時に初めて鏝(こて)を握った。18歳から様々な親方の許で修行を積み、23歳の時に独立。伝統建築物の修復や復元だけでなく、商業施設や教育施設、個人宅など数多く手がけ、伝統的な左官技術とオリジナリティ溢れるアイデアが国内外で大きく評価されている。
 今回は「別府の山々から別府湾にたなびく風」をイメージして、高さ4㍍、長さ25㍍の壁に段差をつけながら流れるような風を表現。上部からライトを照らすと、均一な陰影で立体的なデザインに見える。すべて手作業で、塗られた壁は、細かい部分まで計算された雄大な中にも繊細さがある作品に仕上がっている。
 久住さんは「新棟のコンセプトは“風”。本作品では、別府の山々から吹きおろす風が、別府湾にたなびくイメージを具現化しました。広大なキャンパスは、私にとって、今までにない大きな作品になりました。特に天井部に向かって伸びる曲線の部分は、風の躍動感を演出する上でも非常に時間をかけて施しました。新棟を訪れるお客さま1人ひとりが、本作品に足を止めて、心ゆくまで楽しんでもらえればうれしいです」とコメントした。