要保護児童の対策地域協議会合同会議

安心して産み育てられる支援について協議した

 令和4年度第1回別府市要保護児童対策地域協議会合同会議が5日午後1時半、ビーコンプラザで開催された。
 阿南寿和副市長(市長代理)が「児童を取り巻く環境は、虐待相談件数は年々増加の一途で、深刻な社会問題です。別府市としてはも、体罰によらない教育、育児支援などで未然防止に取り組んでいます。妊娠期から子育てまで切れ目のない体制構築し、それぞれが連携を図ること大切。協議会の果たすべき役割は非常に大きい。安心して産み育てられる地域社会の実現のため、ご協力を」とあいさつ。
 議事では、令和3年度の事業実施報告、児童相談内容と傾向、令和4年度事業計画について審議、承認した。
 令和3年度の実務者連絡会は月1回計12回実施。個別ケース検討会議では、延べ125件について81回の検討を行った。児童相談は532件。虐待相談が303件(前年度対比6件減)で、全体の56・95%となっており、最も多い。虐待相談のうち、心理的虐待(DVを目撃するなど)が148件と最も多く、身体的虐待109件、ネグレクト(育児放棄)45件、性的虐待1件となっている。被虐待者の49・5%が未就学児童となっている。虐待をする人は、実母が112件、実父が88件と、実の両親によるものが多い。
 その他の養護相談193件、発達障がい相談1件、非行相談のぐ犯行為(犯罪を犯すきっかけや誘惑となるような付き合いや教育上好ましくない場所に出入りする)2件、性格行動相談20件、不登校相談4件、育児・しつけ相談7件、その他2件となっている。児童虐待通告を42件行った。
 昨年12月から始めた「支援対策児童等見守り強化事業」では、支援対象児童等の居宅を民間団体等が訪問し、状況の把握や食事の提供、学習・生活指導支援等を通じた子どもの見守り体制の強化を図っている。これまでに13家庭47人に対して、延べ85回の訪問を行い、利用者からは「悩みや困りを相談できた」「安心できた」などの声があったという。
 令和4年度は、子育て短期支援事業や支援対象児童等見守り事業、養育支援訪問事業、心理相談、別府こども福祉塾などの取り組みを継続する。
 また、河野洋子大分県中央児童相談所長兼こども・女性相談支援センター長が「困難な生活環境にあるこどもの支援を考え」と題して、ヤングケアラーの問題をアンケート調査から「約千人の子どもたちの支援が必要と分かった。就学前からお世話をしている子どもが5・6%いた。回りの大人が話し相手に会える安全な場所を提供することが大切」とした。
 内海奈穂子大分県ども未来課長が「子どもの成長に応じた就学前後の一貫支援の必要性」として、「母子保健、児童福祉、教育等で連携して、子どもの成長に応じた切れ目のない支援を実現することが大切」とし、連携にかかるガイドラインの策定に取り組んでいることなどを説明した。
 岩永成晃大分県周産期医療協議会専門部会長兼大分県産婦人科医会顧問が「妊娠について悩まれている妊婦(特定妊婦)への対応について」として講話した。特定妊婦は、出産後の子供の養育について、出産前において支援を行うことが特に必要と認められてる妊婦、妊娠中から家庭教育におけるハイリスク要因を特定できる妊婦のこと。妊婦健診の未受診や、母子手帳未交付のケースもあるという。大分県の取り組みを紹介して「県単位で要保護児童対策地域協議会があり、すべての市町村が共有できるのは、全国でも大分県だけ。産婦人科医や小児科などと連携し、妊娠したかもと思った時の行動など、明確に指導していくことが一番求められている」などと話した。