別府市議会の予算決算特別委員会①

令和3年度の決算についての審査が特別委員会で始まった

 別府市議会は9日午前10時、予算決算特別委員会(荒金卓雄委員長)を開き、令和3年度の決算について審議を行った。
 予算審査と決算審査の循環性を保つため、全議員が参加して実施。9日は会派代表者による総括審査が行われ、午前中は、阿部真一氏(自民党議員団)、穴井宏二氏(公明党)が質問を行い、午後からは、加藤信康氏(市民クラブ)と平野文活氏(日本共産党議員団)が質問。決算全体からコロナ対策、観光客誘致、生活保護、学校のICT環境整備など幅広い質問が行われた。
 はじめに、長野恭紘市長が「令和3年度は、新型コロナ対策を優先しつつ、メリハリのある予算確保をしました。執行に当たっては、最小の経費で最大の効果が得られるように取り組んできました。皆さんには、幅広い視野でご意見をいただきたい」とあいさつ。
 阿南寿和副市長が全体説明を行った。新型コロナ対策として、5月の連休を前に観光関連事業者にPCR検査を実施し、6月には旧山の手中学校に無症状の人が気軽に検査を受けられるPCR検査センターを設置。地域経済の活性化を図るために「べっぷ帰ってきたエール券」を販売するなどした。
 一般会計の決算規模は、歳入は623億7130万1千円(前年度比9・4%減)、歳出は606億7483万2千円(同10・3%減)で、歳入から歳出を差し引いた形式収支は、16億9646万9千円で、繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は10億4435万4千円の黒字。
 国民健康保険事業、競輪事業、公共用地先行取得事業、地方卸市場事業、介護保険事業、後期高齢者医療の各特別会計の決算規模は、歳入587億6230万1千円、歳出577億4794万円で、実質収支は10億1436万1千円で、全ての特別会計で黒字となっている。
 財政構造の弾力性をはかる経常収支比率は、91・1%で、前年度より5・8ポイント改善し、4年連続で改善した。主要基金の年度末残高は、86億1800万円。
 上下水道局の決算については、岩田弘局長が概要を説明した。水道事業は、収入24億5833万9千円(同1・7%増)、支出は22億979万3千円(同1%減)。純利益は1億7118万6千円で、前年度と比べて28・7%増加した。資本的収入及び支出は、収入1億586万9千円、支出12億708万8千円となっており、不足分の11億121万8千円は過年度分損益勘定留保資金などで補てんしている。
 下水道事業は、収入19億6134万8千円(同0・9%増)、支出21億2452万2千円(同2・6%減)。純損失は1億9850万3千円。資本的収入及び支出は、収入11億3438万5千円(同93・5%増)、支出19億236万5千円(同80・8%増)。不足分の7億6798万円は、過年度分損益勘定留保資金などで補てんしている。
 阿部氏は、新型コロナ対策について質問。
 安部政信企画戦略部長が「独自の緊急対策を1~4弾まで、機を逸することなく行ってきた。臨時交付金などで市の負担は10億9千万円程度」と説明。
 阿部氏は「昨年度は国の手厚い財政措置があった。地方交付税がこのままずっと増額にはならないということを頭に入れて、政策を進めていく必要があると思う」と指摘。決算からみた予算執行について考えを質した。
 安部部長は「(地方交付税の増加が)継続することは予想していない。今後も、感染症対策が最優先になると思うが、落ち込んだ個人消費の回復、地域経済活動の回復、将来の発展を見据えた総合戦略にも取り組んでいかなければいけない。ウイズコロナ仕様に大胆に見直しながら取り組みたい」と答えた。
 穴井氏は「経常収支比率は、市の取り組みや国の交付税措置などで改善しているが、今後の考えは」と質問。
 安部部長は「歳出では効率的な予算執行に努め、歳入は地方交付税が増加したことで経常収支比率は改善したが、大型事業の本格償還が始まる。社会情勢の変化の影響を受ける扶助費は類似団体と比べても高い比率が続いている。歳入、歳出両面の改善が必要」と答えた。
 公債費について「今後も、学校給食センターや新図書館等整備など大型事業を控え、財政を圧迫するのでは」と質問。
 安部部長は「大型事業もあるが、それらを盛り込んだ中期の財政収支見通しを示しており、4年度をピークに減少する。今後も公債費が増加しないように管理していく」と述べた。