別府商工会議所の景況調査

景況調査を発表した別府商工会議所

 別府商工会議所はこのほど、昨年10月から12月の企業景況調査を発表した。今回で37回目。
 今回は、令和2年2月以降、事業経営に大きな負の影響を及ぼしてきたコロナ禍に対する経営者目線に、わずかではあるが、変化の兆しがみられ始めた。今回の調査では「DXやデジタル化」についての課題や取り組んでいる内容について質問。全体の回答率は50%で関心度は高いと推察される。課題としてデジタル化などを推進できる「人員の不足」や推進方法に係る「情報人手」が課題の上位にランクされた。デジタル化は中小零細企業でも重要な経営課題となりつつある。行政庁や経営支援機関は必要な人材のマッチングやセミナー開催などによる積極的に取り組んでいただきたい。
 市内の会議所会員100社に、調査票を発送し回答を得た。調査項目は売上高、売上単価、資金繰り、借入難度、収益状況、雇用人員、自社の業況判断。
 ▽売上高=総合のDI(※DIとは、企業が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値。数値が高いほど良好)は11ポイント増加し、前回の0ポイントを大きく上回った。コロナに係る行動規制などが緩和される一方で、調査期間中に新規感染者が再び急増してきたという現実が、経営者の期待値を引き下げたと推察。
 ▽売上単価=もの造り関連が45・0と過去にない値となった。業種別では前回は医療・福祉業がマイナス10・0と唯一のマイナス値を記録したが、今回は6業種でプラス値となった。しかし、油断は禁物。大分類や行壽別の来期見通しをみると、全体としてプラス値は維持するものの値の下降傾向をみることができる。コストアップ分の価格転嫁が必ずしも容易ではない現実も垣間見れる。
 ▽資金繰り=宿泊需要が回復してきた宿泊業に比べ、外食習慣に変化が起こった飲食・サービス業がマイナス25・0と業種別で最も大きなマイナスを記録している。コロナの影響が業種によって大きく異なることが理解できそう。
 ▽借入難度=資金繰りが改善するのと借入難度が改善するのとは必ずしも一致しない。業種により借入難度の改善度合いに差異がある。
 ▽収益状況(経常利益)=大分類でもの造り関連が前回比で5ポイント悪化のマイナス25・0、卸・小売業関連が前回比2・5ポイント悪化のマイナス17・5となった一方で、サービス業関連が前回比25・0ポイント改善の20・0となった。
 ▽雇用人員=今回は全ての業種でマイナス値となった。最大値は建設業、製造業、宿泊業のマイナス60・0であり、最小値は医療・福祉業のマイナス10・0である。総合の「来期見通し」がマイナス28・0と今回比で7・0ポイント改善するとしていることに多少の希望を見出した。
 ▽自社の業況判断=前回調査では大分類ではすべてマイナス値だったが、今回はもの造り関連がマイナスとなり、そのほかはプラスに転換している。「来期見通し」は、卸・小売業関連とサービス業関連がともに0・0と今回比で悪化を予想しており、もの造り関連も5ポイント改善を予想するがマイナス20・0とマイナス値予想となっていることが懸念材料。