一葉の嗜み

 皆様御愛読の今日新聞は今年11月で創刊70周年を迎えます。令和6年の新年号「年頭随想」は今までの趣きをガラリと変えて、御二人の女性文化人のご協力で「萬葉集」について触れてみました。
 愚生の拙文で始めた「年頭――」は「会津武士道」、室鳩巣の「節義の嗜み」、「忠臣蔵」、「教育勅語」、「戦時中、日本軍人の功績」、「令和の幕明けと皇室」、「東郷平八郎元帥」、「江戸消防記念会三百周年」など10年以上にわたって硬質な?題材を得て記載して参りました。今年は「萬葉集」で短歌の原点、日本文学の幕明けという課題に取り組みましたが、生来の不勉強で詩句の選択と解説を別府大学文学部教授で萬葉研究の権威でもある浅野則子氏。歌詩の揮ごうを玄睦書道会会長の伊吹悦子氏にそれぞれお願いしました。
 伊吹氏は我が県立別府鶴見丘高校の大先輩でこの書道の世界で全国ネットの大御所。実はこの御二人は、ともに面識はありませんでしたが、書と訳の表現がピッタリ一致する絶妙な紙面構成で完成しました。
 実は新年の本社来訪客から、「萬葉集は地位や性別に関係ない日本古来のSDGs!」「2人の女性文化人の表情がいいね~」「NHKの大河ドラマも短歌を取り上げ、タイムリ!」「やっぱり毛筆は日本人にピッタンコ、ハマる!」――など様々な感想を頂いております。
 さらに愚生の「解説」を加えさせて頂くなら、伊吹、浅野両氏とも現在もなお、若い人々を教え育んでいらっしゃる事。伊吹氏は駅前の公民館で小学生から大人の直弟子衆に直接指導して書を通じ人間形成の一助にしていること。浅野氏は文学部の教壇に立ち、更に図書館長として若者と接し、彼らに感性の磨きをかけつづける。それぞれ教育者としてのバックグラウンドが、今日新聞の「古希」を祝ってくれたかのよう。
 「萬葉」とは▽多くの木の葉▽あらゆる草木の葉と辞書にあります。実に多くの多様性、価値観を集約し人々の「心音」と受け止め、ツボミの葉、青々と繁った葉、色彩が変化しようとする葉、枯れ落ちようとす葉、人々(葉々)が抱く多くの価値観を私たち「コンニチ」は拾い集めて70歳(古希)の再スタートを切る。――そんな気概をもっての「コンニチ!」。これ、一葉の嗜み。
 なんか少し格好良すぎでしょうか。
       (陽)