障がい者アートの新たな可能性を

左から(株)naNkaの佐藤霧子さん、
登壇者の長野恭紘別府市長、
樋口龍二(株)ふくしごと取締役副社長、
深川謙蔵AKANEKO代表

 別府市制100周年「障がい者シェアアートインクルージョン事業」として「障がい者アートの可能性~ワクワクの、その先へ~」を2月28日午後1時15分、別府市公会堂大ホールで開催し、約60人が参加した。
 一般社団法人デザイナーズカンパニーY・H2020の梅本弥生代表が「障がい者の作品を別府市内5社でご覧いただくことができます。障がい者アートがどのように産業として価値を見出していくのかなどを、皆さんと一緒に考えていければと思います」とあいさつ。
 はじめにトークセッション「ワクワクを超えて」をテーマに、障がい者アートが地域社会や産業にもたらす新たな可能性やその価値、今後について語った。
 登壇者は、長野恭紘別府市長、樋口龍二(株)ふくしごと取締役副社長、深川謙蔵AKANEKO代表の3人。(株)naNkaの佐藤霧子さんの司会で、3人が自己紹介を行い、これまでの活動内容やそれぞれの考えを述べた。
 佐藤さんが「アートを社会に取り入れる取り組みをしていて、具体的に事例や、企業や行政が障がい者アートを取り入れていくことの意義は」と質問。
 樋口さんが「障がいのある方との出会いが『音楽』というツールだった。音楽というツールがあったおかげで、彼ら彼女らの反応が良くて、びくびくしていた自分が普通にコミュニケーションを取れるようになった」。
 深川さんは「音楽祭で耳の聞こえない方と一緒にしようと考えたのは、耳の聞こえない方に『音楽って楽しいのですか』と質問したとき、『すごく楽しい。歌詞を読んで楽しんだり、ライブに行けばスピーカーの前に立って聞こえてくる低音が心地よい』、楽しみ方が僕とあんまり変わらないと思った」と答えた。
 佐藤さんが「地域とのつながりが少しずつ、障がい者アートだけでなく、障がいのある人とできつつあると思います。どのように感じていますか」と質すと、長野市長は「障がいのある人は、60年前は仕事をする、スポーツをする、アートに身を置くなど許されないときだったと思う。別府市は太陽の家のおひざ元で、何十カ国の留学生がいる街。先人たちの努力もあり、今回のイベントなどは自然に『日常の延長線上にあるもの」と答えた。
 そのほかの登壇者とテーマは、次のとおり。
 ▽「アートの現場から」、檜垣伸晶別府市美術館長、梅本弥生代表▽事例紹介「その先へ、つながるSTORY」▽「コロナ禍のマスクケースをきっかけに作品が移住者の手元へ」、鶴河さくら、羽迫優・両別府市障害福祉課員▽「鬼山ホテルのシャッターアートが次なるビジネスとの出会いに」、上月明美おにやまホテル女将▽「シャアアートからつながる新しい場づくりと、未来のコラボレーション」、原口智成・南光物産(株)代表取締役社長、小川英彦・黒木記念病院事務局長