ラグビーW杯大分大会あす開幕

RWCキックオフを迎えて

別府市長 長野恭紘 様

○「ラグビーワールドカップ2019日本大会」が9月20日に開催します。大分会場では10月2日のニュージーランド対カナダ戦をはじめ、準々決勝を含めた合計5試合が予定されています。また、別府市はニュージーランド、オーストラリア、ウェールズの3チームの公認チームキャンプ地に決定しています。別府市のこれまでの取組みについてお聞かせください。

 まずは、公認チームキャンプ地として最も重要となる施設の整備に着手しました。ワールドカップに出場するチームが望む練習環境をどのようにして作り上げるかを徹底的に研究するために、平成28年4月に別府市国際スポーツ大使に任命した向井昭吾さん(現在、コカ・コーラレッドスパークス監督)に、豊富な経験や知識に基づいた的確なアドバイスをいただきました。向井さんは、第1回ラグビーワールドカップにフルバックとして出場し、日本代表監督としてもワールドカップを経験した人であり、多くのアドバイスが活かされました。さらに、完成のタイミングについても各国代表チーム関係者が続々と視察に訪れる時期に間に合うように、緑の芝生を敷き詰めたグラウンドをいち早く整備し、受入れの強い気持ちをアピールしました。芝生を施工する際には、サッカーチームやグラウンド・ゴルフの愛好家などラグビー関係者だけではなく、地域の皆さまにもご協力いただき、真心を込めて大切に育てていただきました。土のグラウンドから見事な天然芝のグラウンドに大変身した現在の姿を目の当たりにして、これまでの苦労といよいよこの時が来たという感動が入り混じった気持ちです。併せて、ラグビーをはじめ、トップアスリートの使用にも対応できる高機能のトレーニングジムも令和元年5月に竣工して、ハード面においてはこれ以上ない準備ができたと思っています。また、別府市、市議会、観光・経済、各種団体、ラグビー関係団体等の代表者で組織する国際スポーツキャンプ誘致委員会を平成30年度に立ち上げ、官民一体となった誘致活動を展開してきました。平成30年1月に誘致委員会のメンバーや市役所職員が出演する別府市ラグビーおもてなしプロモーション動画を制作し、世界に向けてラグビーと温泉の融合を発信したところ、約16万回再生を超える反響を得ており、多くのラグビーファンに別府市を知っていただくことができました。さらに、スーパーラグビーに参戦し、日本代表選手の多くがプレーしているヒト・コミュニケーションズサンウルブズのキャンプを2年連続で誘致できたことも、公認チームキャンプ受入れの大きな力になりました。その他にも1年前イベントや100日前イベントなどの広報活動を行うなど、開催に向けた機運醸成にも力を入れてきました。このような官民一体となった取組の成果が、世界中のラグビーファンがうらやむ強豪3チームの公認チームキャンプの誘致につながったと考えています。

○大会期間中は出場する20の国と地域から選手やファン、メディアをはじめ多くのお客様が別府市を訪れることが予想されますが、協力体制やおもてなしについてお聞かせください。

 観光を基幹産業としている別府市において、ラグビーワールドカップ2019日本大会はまさに一生に一度の好機と捉えており、別府市の魅力を世界中に発信したいと考えています。世界各地からお客様をお迎えするための協力体制として、別府市民ボランティアを募集したところ、約140人の市民の皆さまにご協力いただけることになりました。大会に合わせて外国人観光客の増加が予想されることから英語対応のため、別府翔青高校のグローバルコミュニケーション科の生徒にもご協力いただくなど、高校生から80歳代の方まで幅広い市民の皆さまによって組織されています。ボランティアの皆さまは、これまでに土日を利用して開催した4回の研修会において、知識の蓄積や実践的なワークショップなどを積み、受入れ準備はバッチリです。また、この大会の成功に向けて市役所全庁を挙げて取り組むために、ラグビーワールドカップ2019日本大会別府市推進本部を本年5月に設置しました。大会期間中には延べ480人程度の市役所職員が応援業務を行います。大勢のラグビーファンが集う北浜公園のおもてなし広場の運営や大分会場で試合がある前日と翌日の街なか清掃など、各課が所管する通常業務と関連づけて大会を盛り上げていきたいと考えています。おもてなしについては、北浜公園を中心にラグビーファンが交流を楽しめる「おもてなしエリア」を別府商工会議所などの協力をいただきながら、官民一体となってシティドレッシング(街なかの装飾)して、観戦客と市民が一緒にラグビーワールドカップの雰囲気を味わうことができるように整備します。また、日本代表戦が行われる日と大分会場で試合がある日には大型モニターで試合観戦をしながら飲食を楽しめる「Rugby Lovers Gatherring at Kitahama Park(ラグビー好きは北浜公園に集まれ!)」を北浜公園に開設するので、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。

○大会終了後、世界各国とのつながりを得ることができた別府市の今後の観光浮揚、国際交流の展望をお聞かせください。

 ラグビーワールドカップには世界各国から多くの観戦客が訪れます。特にこれまであまり多くなかったヨーロッパやオセアニア地域の方にも別府市の魅力をしっかりと伝え、一人でも多くの別府ファンを増やすことが大切だと思っています。今大会を契機として、日本一の源泉数と湧出量を誇る温泉はもちろんですが、おいしい食事や市民の温かい人柄など、様々な魅力を目的に2回、3回と観光に訪れるリピーターになっていただくことを望んでいます。偉大なる別府観光の父である油屋熊八翁に「旅人をねんごろにせよ」と教えていただいたように、別府市民あげておもてなしすることで、世界中に別府ファンを増やしていきましょう。

また、国際交流につきましては、姉妹都市であるニュージーランドのロトルア市とイギリスのバース市の高校生を招いて日本の高校生を交えた3カ国対抗ラグビー交流試合を平成30年に実施しました。期間中は各国の高校生が市内でホームステイするなど家族ぐるみで交流を深めることができました。さらに、別府市で公認チームキャンプを行うことをきっかけに、ウェールズにあるカーディフ大学のサマースクールに今年の8月、別府鶴見丘と別府翔青の高校生5人を初めて派遣することができました。海外に行くことで違う価値観を持つことができるため、視野の広い国際人として大きく成長できる子どもたちの国際交流は、今大会のレガシーとして今後も継続していきたいと考えています。

○ご自身がスポーツを嗜まれ、様々な競技を支援されている長野市長ですが、今大会がもたらす今後の別府市のスポーツ推進策をお聞かせください。

 今回のラグビーワールドカップ2019日本大会の公認チームキャンプ誘致に取り組む中で、別府市にはラグビー経験者がかなり多くいることがわかりました。また、ラグビー教室や機運醸成イベントなど別府市ラグビー協会の皆さんと一緒に取組を進める中で、ラガーマンの情熱や仲間を思いやる結束力の強さなどを強く感じ、ラグビーというスポーツの素晴らしさを改めて実感することができました。スポーツを行う目的は人それぞれです。私自身も子どもの頃から野球をやってきました。このとき一緒に汗を流した仲間とは今でも頻繁に交流があります。このように、スポーツは人と人とを強く結びつける力を持っています。この素晴らしい力を別府市民に広げていくためには、いつでも気軽にスポーツに親しめる環境の整備や発達段階に応じた適切なスポーツ指導ができる人材の確保などに取り組む必要があります。今年、ラグビーワールドカップのソフト面でのレガシーとして、中学校にラグビー部を創設することとしています。ラグビースクールでラグビーに出会った小学生が中学校で部活動としてラグビーを続け、高校、大学、社会人と生涯を通じて仲間とともにスポーツができる。このようなしくみづくりこそがスポーツを推進し、別府市が元気なまちとして更に成長していくために必要な方策ではないかと考えています。今大会を契機に整備した施設や人とのつながりを有効に活用して、市民の皆さまには、スポーツに親しんでいただきたいと思いますし、日本代表やトップリーグなど一流のアスリートのキャンプ誘致を進めることで本物を身近に感じ、スポーツを観る楽しさにも触れていただきたいと考えています。

○最後に、大分会場で行われる対戦カードで最も興味のある試合はどれですか?

もちろん全部の試合が見どころだらけで、どの試合も興味ありますね。別府市を公認チームキャンプ地としているチームの対戦カードは、全力でそのチームを応援したいと思っています。大会3連覇を目指すニュージーランド、前回大会準優勝のオーストラリア、そして準々決勝で大分に戻ってくる可能性の高いウェールズ…。やっぱり全部ですね。皆さんも一生に一度のラグビーワールドカップ2019日本大会を思いっきり楽しみましょう!

心温まる県民の国際交流

大分県知事 広瀬 勝貞さん

ラグビーワールドカップ2019™日本大会、開幕以来各地で激しい試合が繰り広げられています。大分での試合もいよいよ明日から始まります。大分では、大会3連覇を狙うニュージーランドや、これを何としても阻みたい前回2位のオーストラリア、ヨーロッパ最強のウェールズなど強豪国が戦うプール戦3試合と準々決勝2試合の計5試合が行われます。大分の開幕戦を戦うニュージーランド代表とカナダ代表はすでに別府入りし、練習を開始するなど県内の熱気は日増しに高まっています。多くの観戦客が国内外からやってくると思いますので、大分駅南側の大分いこいの道広場ではファンゾーンを開設し、大型ビジョンでのパブリックビューイングや日本の伝統芸能を中心としたステージイベント、子どもたちが楽しめるラグビー体験コーナーなど、来場者が楽しい時間を過ごせるおもてなしを用意しています。別府市でも北浜公園におもてなしエリアを設置し、こちらはさすがに深夜まで営業して、別府らしい「おもてなし」を予定していただいています。また、大会期間中、県立美術館では刀剣・浮世絵展の開催や日田祇園山鉾の出張展示など、試合観戦だけではなく、伝統的な日本文化や「おおいた」の魅力を存分に味わっていただく取組も充実しています。先日、ウェールズの選手が別府市立石垣小学校にコーチングに来てくれました。その際に、児童たちがウェールズ国歌を歌った様子が現地メディアで紹介され、英国のBBCスポーツ・ウェールズのSNSでは、既に45万回再生されるほど大きな話題になりました。別府の子どもたちの心のこもったおもてなしが世界中の皆さんの心を動かしたのだと思います。この子どもたちにはとてもかなわないと思いますが、県民の皆さんには、ラグビーの魅力と感動を世界のラグビーファンと分かちあっていただきたいと思います。また、国内外から大分を訪れる観戦客の皆さんには、「大分はよかった」「別府にまた来たい」と思っていただきたいと思います。一生に一度の経験を、大いに楽しみましょう。

「王者」が別府にやって来た!

別府商工会議所 会頭 西 謙治さん

 NZの「オールブラックス」=AB=が大分空港に到着。10日間という長い別府キャンプは、2日の大分大会オープン戦に備えるため。選手達の姿を見て、私のこれまでの活動にある種の達成感を覚えました。
 30年近く前の話になります。別府市と姉妹都市のNZはロトルア市に初めて訪問。次々に友好の輪が広がり。民間交流、NZハウスの開設と事業を展開し続けて参りました。留学や就職を志す若者に、受け入れ先を紹介するなどの活動を更に活発化させて参りました。別府で見送った人々はそのほとんどが永住権を取得してその土地の人となっています。この地域間交流、東奔西走してくれたのが、グレアム・ホール・当時ロトアル市長。政府を動かし、その当時から世界王者であり国民的英雄のABメンバーを紹介して頂きました。W杯の日本開催、大分大会を念頭に置いて動いて来たワケでもなく、単なる個々の絆のなかで導き出した結果が今日を迎えております。

 W杯の大分キャンプ誘致に訪問した大分勢は総勢8人。お隣りの福岡は約2百人。NZは「激戦区」、北海道や福岡には、現地法人を設けて取り引きする一流企業もあり、大分に勝ち目は全くありませんでした。状況が一変したのはオールジャパンサンウルブスの別府キャンプ時に、NZの視察団が合流した時。今考えるとダイナミックな展開。全ての関係者の「努力の結晶」のまさにこの一言。
 今回、特記すべきは、AB主力選手による「ラグビー・クリニック」。少年少女のラグビー選手を集めた教室、次世代への遺産。他都市では大会期間中にこのような事業はかつて一切ありません。ABヘッドコーチの1日警察署長、市民との交流活動、欧州、太平洋地域各国のマスコミ取材は、別府の存在を世界にアピールする絶好のチャンスとなりました。「おもてなし」については、会議所議員をはじめ北浜の料飲業界が自発的に立ち上がり短期間に約9百本の灯ちんを張り、別府ラグビークラブの皆さんは、付きっきりでABの用具や人員の輸送、アテンダントなど積極的に申し出て頂いております。
 あす2日大分大会開幕戦はAB対カナダ戦。午後7時15分のキックオフ。心静かにこの時を待ちつづけております。 (談)

ラグビーワールドカップ2019大分大会によせて

(一社)別府市観光協会 会長 梅野 雅子さん

いよいよ明日10月2日から地元大分でラグビーワールドカップが開催されます。5年ほど前、RWC大分開催誘致に向けた署名をしたことが思い出されますが、ついにその夢が現実となるわけです。すでに、世界ランキング1位のニュージーランド オールブラックスは別府入りしましたが、ニュージーランド以外にもウェールズ(4位)、オーストラリア(6位)、カナダ(22位)が別府にキャンプをするとのことで、ラグビー通ならずとも凄いことだと実感できます。まさに世界中のラグビーファンの注目が別府に集まっているようでワクワクしています。今はSNSの時代であり、誰もが気軽にそして世界中に情報発信することができます。別府の湯けむりの情景は海から見ても山から見ても美しく、またコバルトブルーの海地獄、赤い熱泥の血の池地獄、わら葺屋根の湯の花小屋等、インスタ映えするスポットは沢山あります。温泉で旅の疲れを癒し、おいしい料理に舌鼓を打つ。RWCを機に別府を訪れた世界各国の方々に、ラグビーも別府も存分に楽しんでもらえるようおもてなしの精神でお迎えしたいと思います。北浜公園には非公式ですがファンゾーンもあり、街中には提灯や歓迎の幟がはためき、盛り上がりを見せております。是非「一生に一度」のこの大会を皆さんで一緒に楽しみましょう。

※文中の世界ランキングは9月30日付です。

別府市旅館ホテル組合連合会 会長 西田 陽一さん

 「4年に一度ではなく、一生に一度」のRWCのキャンプ地に別府を選んでいただいた、W杯3連覇を狙うニュージーランド、世界ランキング4位のオーストラリア、同7位のウェールズの各チームと関係者に、別府市旅館ホテル組合連合会会員一同、心より歓迎いたします。
 別府市では姉妹都市のロトルア市(ニュージーランド)などを訪問し、PRや意見交換などを精力的に展開し、実相寺多目的グランドに芝を全面的に張るなど、大規模改修、そしてラグビーと温泉をコラボレーションさせた伝統的な踊りでCMも作成していただきました。
 さらには、ボランティアの皆様と連携し、大会期間中に別府市にたくさん訪れると予想されている国内外の観光客の方々のおもてなしや清掃活動などをしていただいています。この清掃活動は、例年の清掃活動より規模を広げて市内の美化活動を行ってくださいました。心より感謝申し上げます。
 別府市旅館ホテル組合連合会としても、キャンプを張っていただいている各国のチームの選手、スタッフ、そのご家族とそれを応援に来られる多くのお客様に、別府温泉を楽しんでいただき、「一生に一度」の思い出となるよう、誠心誠意のおもてなしを致します。
 各国チームの皆様の大分大会での活躍を心よりお祈りいたします。        別府市旅館ホテル組合連合会 会員一同

※文中の世界ランキングは9月30日付です。

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