10カ所の共同温泉に警報機設置へ

地域の共同温泉に安心して利用してもらえるようにと警報機を設置=寿温泉で

 別府独自の温泉文化である共同温泉だが、組合員の減少や入浴客の減少など厳しい経営をしている温泉は少なくない。地域の課題を協力して地域で解決しようと進められている中規模多機能自治の中心となる「ひとまもり・まちまもり協議会」の中で、南部ひとまもり・まちまもり協議会(清家政人会長)は、地域内にある10の共同温泉で会議を開いて、今後、協議会の中に温泉部会を立ち上げる準備を進めている。
 その中で、市の補助金を活用して、入浴中の人がケガなどをした際に、外の人に助けを呼ぶことが出来る警報器を購入し、10カ所の共同温泉に設置をしている。
 経費節減などのため、番台を置いていない共同温泉も少なくない。人がいない中で入浴中に浴槽などで転倒し動けなくなった場合、次の人が来るまで助けを呼ぶことが出来ない。利用者により安全に安心して入浴してもらうために、警報器の取付を行っている。
 ボタンを浴室などに設置し、それを押すと番台や外に設置した赤いランプがつくと同時に、大きな音で異変を知らせることが出来る。音はかなり広範囲まで響きわたることから、それを聞いた人に助けてもらえる可能性も高くなる。設置は、協議会の連携団体である「はまRUN(らん)会」(塩見泰美会長)が手伝っている。「はまRUN会」は、南・浜脇地区の住民有志が、高齢者の暮らしを地域全体で支えようと結成した団体。
 1日午後2時、楠町の寿温泉で設置が行われた。寿温泉は、NPO法人別府八湯温泉道名人会が管理する共同温泉。名人会の佐藤正敏理事長が設置場所などを入念に確認して取り付けた。浴室では、転んだ場合を考えて、這っていって押せる高さを確認しながら設置して、実際に外で音が鳴るかをチェックした。
 佐藤理事長は「押されることがないのが一番だが、警報器があることで、より安心して利用してもらうことが出来ると思う」と話した。