田能村竹田をしのぶ美術祭

友達との楽しい一時を描いた絵で文部科学大臣賞を受賞した田中さん(右から2人目)

 別府市立青山中学校3年生の田中紅葉さん(15)が、第74回「画聖『田能村竹田』先生をしのぶ美術祭」(竹田市、竹田市教育委員会主催)の絵画の部で、最高賞の文部科学大臣賞を受賞。27日午後3時半、長野市長に報告をした。
 田中さんは、小さい頃から絵を描くのが好きで、中学生では美術部に入った。当初は、慣れないアクリル絵の具に苦戦したが、3年生になると「絵の具は楽しくなってきた」と話す。別府市美術館で行われたワークショップにも積極的に参加。林淳一郎美術館長から美術祭の話を聞いた美術の先生のすすめで、出品を決めた。
 作品は「夏の思い出」。自画像をテーマにした授業で描いたもの。「1人の自画像は嫌だったので、同じ美術部の仲の良い友達と一緒に、技術室に続く階段でいつものように話をしている様子をタブレットで写真に撮って、描きました」という。途中から美術祭への出品を決め、美術部の思い出も詰めた。スケッチブックに描かれた自画像という少し珍しい構図の中に、笑顔で楽しそうな女子中学生の日常が垣間見える作品になった。
 田能村竹田は、今の竹田市の岡藩儒医・田能村碩庵の次男として生まれた、江戸時代後期の南画家。竹田市では、その功績を顕彰し、美術・文化の発展を願って、美術祭を開催している。近畿以西の小・中・高校生を対象にしており、今年は絵画に2921点の応募があった。
 北村俊雄校長が「歴史ある美術祭で、最高賞を受賞しました。絵のことはよく分からない私でも、すごく魅力あふれる絵だなと思いました」と報告。
 田中さんは「受賞できる自信がなかったので、先生から受賞したと聞いた時は、うれしくてその時学校にいた友達みんなに自慢しました。光の部分を意識して描きました。とてもうれしい」と笑顔を見せ、将来は「イラストレーターになりたい」と話した。