大分県初の昆虫食自動販売機

「蚕のサナギ」を開発した別大4年の田部翔大さん
ゆずこしょう風味の「蚕のサナギ」

 大分県初の昆虫食自動販売機が15日、別府市中央町の市営温泉「不老泉」の駐車場に設置された。
 別府大学食物栄養科学部発酵食品学科の加藤礼識講師の研究室が、オリジナルの「昆虫スナック」を開発したことから設置を決定した。
 昆虫は食料難を見越したSDGs(持続可能な開発目標)に適合した新食材として世界的に注目されており、同学科4年の田部翔大さんは「昆虫食」を卒業研究のテーマに選択し、「日本らしさ」を残そうと蚕のサナギを食材に選び、研究を重ねてきた。
 蚕は山梨県産、日田産のゆずこしょうに4日間漬け込み、菜種油で揚げて、ゆずこしょうパウダーをかけて完成させた。レシピを12月までに完成させたところ、出来が良かったことから、商品化することにした。昆虫食を製造から販売している「はまる食品」(長崎県佐世保市)と不老泉の指定管理者でビル管理会社「サンエスメンテナンス」(浜脇)の協力を得て、自動販売機での販売と設置が決まった。
 「蚕のサナギ」は15㌘入りで800円(現在は特別価格700円)。より食べやすくなるようにカシューナッツを同封している。自販機には、「蚕のサナギ」以外は「たけむし」「フタホシコオロギ」「コオロギクッキー」など9種類がある。
 お披露目会では、加藤講師と田部さんが設置に至る経緯と商品開発について述べた。
 自販機の設置について(有)サンエスメンテナンスの塩見泰美専務が「あるとき、加藤先生から昆虫食の自販機を置きたいんだけど不老泉に置いてくれないかなと話がありました。最初はすごく驚いたのですが、大分県で初と聞いて市民の憩いの場となっている場所に置いてほしいと感じました。別府市役所の協力もあり、設置となりました」と話した。
 昆虫食の魅力について「はまる食品」の諸岡健明代表が「なぜ話題になっているかと言うと、2013年に国連食糧農業機関が『将来の食糧のことを考えると、たんぱく源の一つとして昆虫を食べるということを視野に入れた方がいい』としている。日本に来たのは14年。爆発的に広まったのが20年に販売された『コオロギせんべい』。豚などの家畜と比べて、何万分の一の水や飼料、早いサイクルで食べられるようになる」と語った。
 その後、報道陣に対して試食が振る舞われた。
 昆虫食自販機で「蚕のサナギ」や「コオロギクッキー」などを購入した市内在住の60歳代女性は「試食をして美味しかった。蚕のサナギはビール、コオロギは焼酎、クッキーはワインが合うかも」と話していた。
 田部さんは「自分が作った『昆虫食』を食べてもらう夢が実現できてうれしい。昆虫そのものの見た目と風味を楽しんでほしい」と語った。