豊の国千年ロマン観光圏シンポジウム

オンラインで話をする清水教授

 豊の国千年ロマン観光圏(会長・田北浩司別府市観光戦略部長)は24日午前10時、オンラインでシンポジウムを開催した。県内の観光関係者らが参加。テーマは「観光×地域交通~これからの地方交通のカタチ~」。
 田北部長が「千年ロマン観光圏は、平成22年に設立され、北部地域8市町村が連携をして取り組みをしています。昨年から、新型コロナウイルスが猛威をふるい、観光業に大きな影響を与えています。地域交通も大きな打撃を受け手おり、少しでも明るい希望のため、新しい取り組みや知識を高めて、これからの観光づくりに役立ててほしい」とあいさつ。
 東京都立大学大学院で観光学科の教べんをとる清水哲夫教授が「地方創生における観光圏と観光地域づくり法人」と題して講演した。「千年ロマン観光圏の観光客を見ると、外国人は韓国を中心だったが、2020年は新型コロナウイルスですべて蒸発してしまった。コロナ前の時期では、福岡県からの客が多い。次に大阪、広島となっている。距離の問題もあるが、西日本からの集客がメインだった。2020年になると数量がかなり減り、東京の方が上位に来ている。コロナ前後で出発地の傾向も短期間で変わっている」と分析。
 観光については「地域の人が自分たちの生活を喜んでいることが大切。行政の方で観光支援をする際、KPIがあるので、慌てて元々の基盤が整備されないまま数字だけに踊ることがある。効果を検証しながら、地域が何について自信を持って打っていくのか、覚悟を決めてマーケーティングプロモーションをしないといけない。地域の誇り、どう生きてきたかは、観光資源の根幹として大切」と話した。
 引き続き、パネルディスカッションが行われ、清水教授、大井尚司大分大学経済学部経営システム学部教授、蛯谷憲治大分交通株式会社大分営業所長がパネリストとなった。蛯谷所長は、地域交通の厳しい現状を説明。「路線バスの減便や廃止でコミュニティバス増加は予想されるが、1つの事業者でまかなえていないので、コミュニティバスと連携、ネットワークをすすめる必要あると思う」とした。
 大井教授は「観光の需要は波動性が高すぎて不安定で持たせられない。コロナ禍でそれが顕在化している。自治体がコミュニティ交通をやってよと事業者を振り回してやると生活交通もやっていけなくなる。最後を担っているのは、タクシーだが、タクシーがまったくなくなるという事態になっている所が出ている」と指摘した。
 清水教授は「交通と観光ってセットだと思う。車による来訪に頼る場合に、駐車場問題というものをうまくITの力でマネタイズする。効果的に収益をあげ、観光の原資にすることも可能だと思う」と述べた。